荒魂・和魂 (Aratama and Nikitama)

荒魂(あらたま、あらみたま)・和魂(にきたま(にぎたま)、にきみたま(にぎみたま))とは、神道における概念で、神 (神道)の霊魂が持つ2つの側面のことである。

荒魂は神の荒々しい側面、荒ぶる魂である。
天変地異を引き起こし、病を流行らせ、人の心を荒廃させて争いへ駆り立てる神の働きである。
神の祟りは荒魂の表れである。
それに対し和魂は、雨や日光の恵みなど、神の優しく平和的な側面である。
神の加護は和魂の表れである。

荒魂と和魂は、同一の神であっても別の神に見えるほどの強い個性の表れであり、実際別の神名が与えられたり、皇大神宮の正宮と荒祭宮といったように、別に祀られていたりすることもある。
人々は神の怒りを鎮め、荒魂を和魂に変えるために、神に供物を捧げ、儀式や祭を行ってきた。
この神の御魂の極端な二面性が、神道の信仰の源となっている。
また、荒魂はその荒々しさから新しい事象や物体を生み出すエネルギーを内包している魂とされ、同音異義語である新魂(あらたま、あらみたま)とも通じるとされている。

和魂はさらに幸魂(さきたま、さちみたま、さきみたま)と奇魂(くしたま、くしみたま)に分けられる。
(しかしこの四つは並列の存在であるといわれる。)
幸魂は運によって人に幸を与える働き、収穫をもたらす働きである。
奇魂は奇跡によって直接人に幸を与える働きである。
幸魂は「豊」、奇魂は「櫛」と表され、神名や神社名に用いられる。

現代的に考えるならば、私的な魂・公的な魂と言える。
幸魂・奇魂=別魂・髪魂(分霊・形見)との解釈が可能。

また、人間の心は、天と繋がる一霊「直霊」(なおひ)と4つの魂(荒魂・和魂・幸魂・奇魂)から成り立つという考え方があり、一霊四魂(いちれいしこん)と呼ばれる。

尚、殯宮を、「あらきのみや」と訓ずるのは、荒魂と関係があるのではないかと思われる。

[English Translation]