鳥之石楠船神 (Torinoiwakusufune no kami)

鳥之石楠船神(とりのいわくすふねのかみ)は、日本神話に登場する神 (神道)であり、また、神が乗る船の名前である。
別名を天鳥船(あめのとりふね)という。

神話での記述
神産みの段でイザナギとイザナミの間に産まれた。
古事記の葦原中国平定の段では、天鳥船がタケミカヅチの副使として葦原中国に派遣された。
日本書紀の同段では、事代主の意見をきくために稲背脛を熊野諸手船、またの名を天鳩船という船に乗せて遣わしている(美保神社の諸手船神事の元である)。

これとは別に、日本書紀の神産みの段本文で、イザナギ・イザナミが産んだヒルコを鳥磐橡櫲樟船(とりのいわすふね)に乗せて流したとの記述がある。
先代旧事本紀では、ニギハヤヒが天磐船(あめのいわふね)で天下ったとの記述がある。

解説
神名の「鳥」は、船が進む様子を鳥が飛ぶ様に例えたとも、水鳥が水に浮かんで進む様に例えたともされる。
「石」は船が堅固であることの意である。
「楠」は、船は腐食しにくいクスノキの材で作られていたことによるものである。

建御雷神が天鳥船とともに天下ったのは、雷神は船に乗って天地を行き来すると考えられていたためである。

神名から船の神、運輸・交通の神とみられるが、鳥之石楠船神を祀る神社は少ない。
鳥之石楠船神(天鳥船神)を祀る神社には、神崎神社(千葉県香取郡神崎町)、隅田川神社(東京都墨田区)、金刀比羅・大鷲神社(横浜市南区)などがある。

[English Translation]